夜中の3時までホテルでネットしてからその次の日。
朝から、一路東へ。
Rongchampという小さな町の丘の上にその町の全てを見下ろすように20世紀最高の建築家の教会が建つ。森を抜け、丘の上へ続く階段を登ると巨大な白い塊が見えてくる。屋根のでかさだろうか、思っていたより大きい。白いけど、近くによるとデロデロしたテクスチャに気付く(このテクスチャは内部でさらに良く効果を発揮していた)。表面に小さな影を浮かべ、大きいけど重たくない。屋根の下の横長のスリットがあるからだろう。これはスカルパのブリオン墓地でもとられていた技法に近い。スリットがあるとないとでは受ける感覚は大きく違う。内部は思ったより小さい。外とはイメージが違う。曲面の壁をなでるように進むと自然にサイドチャペルに入り込む。そこには外と同じテクスチャの壁がある。壁には下から電球のオレンジ色の光が、上からは日光の間接光が落ちてくる。それがあのデロデロしたテクスチャの上で交じり合って、オレンジと青白い光のグラデーションを作る。とてもきれい。
壁の厚さも良い。ここにも(フォントネーにもついていた)テーパーがつけられていて、窓に住める。。。
そしてなんといっても、ドアが良かった。大きな回転扉はゆっくりと音も無く閉まる。そのとき徐々に外の音、風のそよぎ、鳥のさえずり、草花のすれあう音。徐々にそれらが絞られていって、最後にぱったりと聞こえなくなる。外から聞くとその逆。すこしづつ堂内の音は聞こえなくなって、鳥たちの声がだんだんと大きくなる。内部と外部のグラデーション。0と1じゃなく、0と1の間にある無限。引き戸ではなくドアにも0と1の間があることを実感。
教会の門(扉)は良い。何でだろう。その大きさかな。大きな扉は開き方が劇的だし、閉まると二度と開きそうにない。開けると本当に魂みたいなものが出て行ってしまいそうな気がする。だから、その扉はほとんどあけられることはない。
あと、扉には開くためのスペースが必要で、その何にもものを放置できない軌跡がそのドアの場所となって、室内空間を拡張させるような気がしている。ヨーロッパのドアや窓は内開きだし、(教会は外開きだ。)内側に開いた窓やドアに囲まれた場所は出窓や縁側のようになる。そのことを事務所の窓を見ながら一日考えていた。
話がそれたが、旅行の続き。午前中ロンシャンの教会を堪能し、丘の上でご飯を食べ、今日も楽園を感じつつ、午後はスイスのローザンヌまで。またもや途中から運転し、着いたのは5時を過ぎていた。まあ、今は9時までも明るいからまだ観光できるけど。そこにあるのは今年のプリツカー賞(建築家のノーベル賞?)SANAAのラーニングセンターだ。 これがまたすごく良かった。公園みたいな建築。丘みたいな建築とはこのことだ。
床が斜面になっているだけで、こんなにも人がくつろぐ場所が出来るのか。みんな自分で居心地のいい場所を見つけ、そこにクッションを持っていって、ねっころがって本を読む。天井や柱が白くて、その粉が空気中にも満たされていて、空気全体が白っぽく、霧がかかったような、幻想のような空気が漂う一室空間。光に満たされた内部は空気の流れこそないが、完全に公園。人の動き方が普通の建築じゃない。これはほんとにすごいと思った。 そして、帰る前に目の前のレマン湖によって。ゆっくり夕日を眺めて、水切をして。湖畔には家族連れや恋人や、BBQパーティー、ランニングする人。この町のみんながこの湖畔でくつろぐんだろう。きれいな夕日だった。
この週末のなんて充実したことか。とにかく「丘」を満喫した週末だった。それが自然な丘だろうと人工だろうと、丘は人の警戒を解く。人の本当の姿に戻ってしまうような気がする。春と丘の組み合わせはルール違反だ。
SOICHIRO のブログを見てると,
返信削除日本の建築物にはヨーロッパのような空間を楽しむようなところが少ない気がするなぁ
気がするだけで, 自分が気付いてないだけかな??
大学の図書館で, 学生が作った建築模型があって,
それは, 波打つ床と天井のオフィスビルだった.
そのときは, "あんまし実用性ないなぁ"と思ってたけど,
ロレックス・ラーニングセンターみたいな使われ方をされると, 今までとは違う新しい空間ができんだね♪
ラーニングセンターの動画を見て思った. .
コメントありがとう。
返信削除んんん。ヨーロッパの建物も大多数の建物はどれも似通ってるし、床が平らで(老朽化で傾いてるものはたくさんあるけど)、普通は単調な建物なんだよね。俺もそうだけど、やっぱりヨーロッパに対する憧れみたいなものが、日本を過小評価して、海外を過大評価することにつながっているような気がする。
ヨーロッパでは、特にフランスでは日本は本当に人気があって、漫画とかの文化でもそうだし、建築とかのデザインにおいても、ヨーロッパとは違う路線のデザインをしている。それは、古典においても現代においてもそうだよ。
確かに、ヨーロッパの人は「美」って言うのを意識して、ちょっとナルシストな感じもあるけど、自分たちなりの美を追求しようという意識はある。日本にはそこが表面化してはいないのかもしれないね。
でも、日本にも「美のつぼ」はいっぱいあると思うんだよね。だから、それに気付いて、発掘していくことが大切なのかもしれない。
タモリクラブの「全力坂」とかは、その魁かもしれない。
ああ、てかラーニングセンター。
返信削除あれは、やっぱり実用性はないよ。ロレックスだから、お金があるから出来た感じだね。やっぱり斜めのところには机や家具は置けないし、贅沢な使い方をしている。
でも、それ以上にこの建物が新たに生み出した、机を置くというのとは違う実用性、人がくつろぐための実用性みたいなものをこの建物が生み出したから、それは本当にすごいことだと思う。
実際、俺もこの斜面に寝転んでたから。
やっぱり"隣の芝生は青く見える"的な感じなのかな?
返信削除でも, それまでとは全く違う価値, 新しい価値
というのを生み出せる社会はうらやましく思う.
ラーニングセンターの床とか日本だったら
そんなのムダだよ
って言われて実現できない気がするし・・・・
う~ん, , , ,
新しいことを試みる余裕がないのかなぁ????
かずくんも新しいものを生み出すことを専門にしてるけど、日本には新しいことを試みる余裕がないと思う?
返信削除そう実感してるのかな??