2010年2月27日土曜日
2010年2月25日木曜日
鉄骨な一日
サント・ジュヌヴィエーヴ図書館には入れず、明日に持ち越しとなったが、
あとの教会3つには入ることができた。
まずはパリで最初に作られた鉄骨造の教会。9区にある。名前は忘れた。
明るい堂内には、ちょうど午後の日差しがバラ窓から差し込み、細い柱の間を抜けて奥へと光が届く。緻密な幾何学と、ビビッドな色で埋め尽くされた堂内は、プラハで見たシナゴーグに良く似ていた。古典(ゴシック)の石造の教会を直接的に鉄骨造に読み替えた、古典の模倣としての鉄骨教会。
ここで、古典の模倣といっているのは、鉄という新しい素材が現れた時代に、始めは新しい素材を使って、アーチやドーム、リブなど古典、ゴシックの模倣が行われ、次第に鉄独自の細さや、ボルトを生かしたデザインなどがなされていったという考えで、今日の3教会では鉄が建築(特に教会)の中でどんな風に受容されていったのかを見ようという目論見があるからなのだ。
二つ目はSt. Augstin教会。オースマンの都市改造に伴って、サンラザール駅の西に新たなアイストップとして建てられたもので、一つ目より古く、バルタールという建築家のデザインによりパリで2番目に完成した鉄骨教会である。
最後は1900年前後に建てられた鉄骨教会。これが今日の3教会で最も新しい。
3つの教会では、徐々に鉄の鉄としての特性が発見されていったことが分かるが、それに対して教会の空間構成の変化があまり見られなかった。ラブルーストの旧国立図書館も古典の模倣としてのドームである。最初の教会のように、古典を鉄という新素材を使って模倣することで、柱が細くできるなど、新たな空間性を獲得することもできる。しかし、古典の模倣とは一線を画した、新たな素材による新たな空間性の獲得、アールヌーヴォーの出現までは、さらに数年を待たなければならなかった。 (※追記 アールヌヴォーにはガラスという素材が欠かせなかった。このガラスが近代建築の明るさを生み出した。さらに、アールヌーヴォーにおいて鉄は装飾としての使用に過ぎず、新たな空間性の獲得とまでいえるのか。むしろラブルーストのドームには古典の模倣を超えた新しさがあるようにも思える。)
今日みたいに分かりやすいテーマを立てて建築を見ていくのはいいと思う。比較もしやすいし、明日ラブルーストのサント・ジュヌヴィエーヴ図書館を見る、旧国立図書館や今日の3教会と比較できるんじゃないかな。
ちなみにパンテオン横のバロック教会も面白かった。堂内に渡されたテラスが印象に残っているが、薄暗いチャペルも良かった。協会には薄暗さが必要なのだと改めて感じた。
2010年2月23日火曜日
樋口君とフランス旅行 追記
第1位 ケ・ブランリー美術館(ジャン・ヌーヴェル)
第2位 ラ・ヴィレット公園(チュミ)
第3位 ・・・
ケ・ブランリーは見る価値ない。まずこの建物にはダイアグラムがない。
何もダイアグラムがない建築を悪いといっているじゃない。だって、スカルパだってダイアグラムはない。でも、スカルパは全体としてひとつのことを言えているような気がするんだ。部分無き全体があるようなそんな感じだ。ところが、この建築にはダイアグラムがないこともないが、いくつものダイアグラムがあって、それらが全体としてまとまらずに、それぞれが勝手なことを言ってしまっている。ガラスの塀にしても、巨大なピロティにしても、外壁に突き出たボックスにしても。それぞれは面白いコンセプト足りえるものであったとしても、それらが合わさったときに、綺麗な和音を作り出せていない。むしろ不協和音としか言いようがないと思うんだ。
例えばボックスは外壁に突き出ているけど、内部からそれを感じることはできないし、動線としてそこを展示の一部に組み込めていない。それに窓に張られた、植物のプリントも外から見えすぎるし、安っぽく、未開の文化という展示内容に合わせたものかもしれないが、安直過ぎる。
ジャン・ヌーヴェルの建築の作り方はとにかくかっこいいものを作るということかもしれないが、それが純粋な形で出てきているカルティエ財団などと違って、これはいただけない。
そもそも、この美術館のコンセプトが西欧以外の文化のための美術館を作るというものだが、その考え方自体が西欧とそれ以外という二項対立的な考え方に基づいていて、その間で起こった様々な交換、交渉、影響を考えるためにはその両方を展示すべきではないんだろうか。そして、西欧以外の劣った”未開の”文化をジャングルのような展示室で展示するという偏見と卑下に満ちたものに見えてしょうがないんだ。だから、ぼくはこの美術館は見る価値がないと思う。
これだけ言っといて、何だけど、もし唯一見るとしたら、パトリックブランの緑の壁かな。でも、この壁も北側を向いていて、常に光が当たらないし、そもそも地面に生える植物を無理やり壁に生やしているのだから、相当無理をしている。水を常に与えなければ、土が保水できないし、それでもすぐ枯れてしまうので、しょっちゅう植え替えなければならない。その苦労が見えるという意味で見てもいいかもしれないな。
この投稿は物事を批判的に、論理的に批判するトレーニングなんだ。だからいつもと違う方向性を持って書いてみた。
2010年2月22日月曜日
樋口君が来た。
今日は勝負の日らしい。
樋口君と回った中で印象に残っているのは、やっぱりオーギュストペレの教会二つだ。
ひとつは港町ル・アーブルのサン・ジョゼフ教会。もうひとつはパリ郊外のル・ランシーにあるノートルダム・デュ・ランシー教会。
ル・アーブルは第二次大戦で破壊された街をペレの再建計画に基づいて、全て鉄筋コンクリートで作られた世界遺産の街。思っていたよりも表情があって、いい街のように見えたが、日本の郊外の団地のようにも見え、商店街は寂れて、悲しくなる町だった。
でも、この街で最も高く、紺碧の空にそびえるサン・ジョセフ教会は、この街で一際目立っていた。
高い8角形の塔は万華鏡のように、七色の光を内に満たし、教会に入ると人は否応無しに上を見て、はるかな高みへの上昇感を得る。後で言われて知ったが、この教会にはキリスト像も十字架もない。抽象化されたステンドグラスとそこから入る光だけが信仰の対象となる教会。神そのものとしての光をあまりにストレートに表現した空間だ。
午後の光を浴びて、黄色や赤や紫の光が堂内に差込み、壁から独立した細い柱に当たり、綺麗に並んだ椅子に当たり、なだらかに下る床に当たる。雲に隠れて光が弱くなったり、強くなったりする姿は、動物の呼吸のよう。どこまでも広がりを感じさせる森。
スイス旅行
そう思わせたスイス旅行から早1週間が経った。今日の昼、樋口君と小出君が帰って、今部屋で一息ついているところだ。今日は良く晴れ、夕日が眩しくて下ろしたシャッターの隙間から部屋に差し込む。久々の静かな午後。
スイス旅行を振り返ると、本当に雪と山と青い空が綺麗な国だった。
一番好きだったのは、メルクリの彫刻の家があるGiornico村。
谷間に転がる岩を集めて、壁を作り、屋根を架け、川に落ちた巨石の上に石橋を築く。住人をなくし、廃墟になった家の中には木が生え窓枠から外へ枝を広げる。雪の積もる細い道の脇には綺麗な雪解け水が羊たちのために用意されている村。
スイスといってもここはイタリア語。
山の中腹の峠には小さな教会が建ち、谷を見下ろし、時を告げる鐘の音が谷に響き渡る。谷の入り口を見ると、その先には真っ白な雪をかぶり、空の青を集めて濃縮したような岩の色をしたアルプスの山々が奥へ奥へと連なっている。山に囲まれ、時間が止まったような村。
メルクリの彫刻の家も、そんな村に廃墟のように佇む美術館(というより展示室)。佇むという表現がぴったりで、荒いコンクリートの凍りつくような内部空間を持っていた。
スイスの村は本当に良かった。
カミナダの作品が多くあるVrinもいい。
村ごとに建築と小屋のフォーマットがあって、どれも大体同じような構造、色、向きをして斜面にくっついている。そのどれもが屋根の上にたくさんの雪を載せて・・。
パリにいると山に囲まれるという感覚がない。どこを見てもなだらかな丘が広がり、どこまでも空と地面が平行のままひとつの消失点に向かって続いていく。
でも、スイスはどこも谷だ。周囲を山に囲まれ、外界と断絶された谷。何百何千という谷が集まって、そのひとつひとつがそれぞれの文化を持って、ひとつの国としてまとまっている。底知れない国だと思った。
この旅の目的は、ズントー巡り。ズントーの建物はどれもシンプルで、シンプルすぎるほどで・・、でもそのシンプルさを実現するために工夫を凝らしたディテールがある。ディテールのことは良くわからないけど、他の建物を見ていると徐々にそのすごさが分かってくる。噛めば噛むほど面白い建築というイメージ。
なかでも、ブレゲンツ美術館が良かった。青いガラスのファサードは光によって様々な表情を見せ、端のほうでは空との境目がなくなっていく。空に溶けていきそうな色をしている。
内部は天井裏に取り入れた光を、光天井にして展示室にやわらかい光を落とす。今回の展示はとにかく展示室を暗くしていて、全て閉められたブラインドの隙間から入ってくる光の筋が、曇りガラスの光天井に映って、綺麗な帯を作る。光天井とはいえ、全面を光らせるのではなく、外周の、しかもブラインドの隙間だけが光って、展示室にいいムラが出来る。この旅で他にも光天井をいくつか見たけど、ダントツでいい。ガラスとガラスも小さな金属で止められていて、その隙間から天井裏が見えそうで見えない。絶妙の隙間が残っている。
ブレゲンツは湖も良かった。美術館の目の前にある美術館は、スイス、オーストリア、ドイツの三国が湖上で交わる国境に位置する。広い湖は青く、海のような緑がかった色ではなく、どこまでも青く、群青と藍色の間のような深い深い色をしている。しかし、湖の遠くに目をやると、その青は空と交わるあたりで霞み、その境目は無くなっている。青い空と青い湖はシームレスにつながって、世界全体がぼんやりとした青い世界に覆われてしまったように見える。
あまりに気持ちが良くて、湖畔で4人でサンドイッチを食べた。最高に気持ちがいい湖と天気だった。
天気にも恵まれて気持ちいい旅行だったけど、最後はあまりの寒さでダウンした。
人間には寒さの限界があるらしい。熊本で育った俺には冬の東欧とスイスでは健康を保てないと確信した。最後の日はあやみに本当に迷惑をかけた。すまない。でも、本当に助かった。ありがとう。
2010年2月2日火曜日
なかがわ in 樋口家
中川です
今はパリを離れてベルギーに来ています。
そう、つまり、樋口君の家です!
3日前に設計演習が終わり、次の日の朝7時からベルギーにバスで着ました。
今回は模型だけは頑張った!!
みんな!樋口君は元気に(?)生きていますよ。
俺なんかよりもよっぽど健康な、きれいな生活を送っていらっしゃるようです。
それで、樋口君と二人でいろいろ話をしながら3日間一緒にベルギー観光をしました。
ベルギーはほんとに小さくて、都市間の移動も1時間ぐらいで済むので、ブリュッセル、ゲント、リエージュ、ブリュージュ、アントワープとぐるっと回ってきました。
個人的にはカラトラヴァの駅とルーヴァンの街がよかったです。

雪が積もったルーヴェン市庁舎