バルセロナは本当にいい街だ。暖かいし、毎日晴れて太陽がまぶしい。
ガウディの建築群も、街に敷かれたタイルも強い日差しを受けて、その向こうにある青い青い空と暖かい空気と強い対称をなしている。
こんな町に生まれたから、ガウディの建築はかくも奔放なのだろうか。
サグラダファミリア、グエル公園、コロニアグエル教会、カサバトリョ、カサミラ。
どれも職人の手による曲線によって構成され、ディテールにいたるまで同じものは二つとない。特にカサバトリョは台頭するブルジョアの家の改修で、細部にいたるまで、丁寧に一つ一つデザインが施されている。少々けばけばしいが、青い海のような中庭と屋根裏の魚のえらのような喚起窓のついた廊下がきれいだった。
しかし、カサバトリョにしても、コロニアグエル教会にしても、サグラダファミリアにしても、内部がとても暗い。強い外の日差しを避けるように小さな窓、小さな中庭から、そこにはめられたステンドグラスによって、または部屋にちりばめられた色とりどりにタイルによって、入ってくるかすかな光。その中でうねる壁や天井は不気味ですらある。
サグラダファミリアは未完の巨大な教会。グリッドの新市街の中にあって、唯一その秩序を崩す斜行道路、ディアゴナル。その先に街の焦点となってそびえる4本の塔。最高のロケーションにある教会は、未だに完成していない。塔の横には巨大なクレーンがもうひとつの塔よろしくそびえる。
内部には腐海の底のような上から降ってくる光と、かざりっけのないテクスチャー。工事用の機材が散乱し、ここが教会であるとは思えない。
未完成の教会にシンボライズされるようにこの街もまた未完成だ。
新たな高層ビル群が地中海沿いの海岸地帯に建設され、西のモンジュイックの丘にはカラトラバの奇怪な塔が立つ。かと思えば旧市街の幅3メートルの迷路のような路地がどこまでも、奥へ奥へと私たちをいざない、そこに建つ教会は都市空間を越えるスケール感を持ちながら、光をみたし、外界と切り離されている。
新旧が混じり、ヨーロッパとイスラムが混じるこの都市はいつも、あの暑い太陽のもとで神々しく輝き続けている。
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