2010年3月23日火曜日

アアルト!!

土曜日は念願のアアルトのカレ邸に行ってきた。
土曜日も僕のスタージュ先は仕事があるから、午前中で抜けて、所長に嫌味を言われながら、電車に揺られ、バスに揺られて、パリを抜け、街をいくつか越えて、バス停から、牧場を横目に、かやぶき屋根の家の裏を抜け、森の中にその家はあった。
ビリジアン色の木々と黄緑色の芝生に囲まれて、白く塗りつくされたレンガの家。窓のサッシュやルーバー、柱の周りにも木が使われていて、黄土色や栗色の様々な木の色が白い壁によく合う。
みんなはこの白い壁の感じと木の使い方が日本的だと言っていたけど、ここでは僕には良く分からなかった。木の扉を開けると大きなホールがあり、アアルト独特の局面の天井が明るい空間を作り出していて、その天井の流れ落ちる先の、一段下がったところに西日の差すリビングがある。
大きなガラス窓は木のサッシュに縁取られ、窓辺に置かれた植物には低く垂れた黄金色の照明が光を注いでいる。リビングに置かれた大きなテーブルにはアアルトの花瓶が置かれ、花がさしてある。大きな窓の向こうには、部屋の中の勾配でそのまま丘が下って、向こうのほうで針葉樹の森に当たる。薄く広がった雲の向こうから差す光は、フランスの太陽というよりも北欧のそれと近いような気がした。
この家にはもうひとつ西向きの部屋があって、食堂がそうだ。夕方にしか帰ってこない主人のために、夕日が差し込むときに最も美しくなるように設計された部屋。大きな窓と、反対側にはクロムメッキのような鈍く黒光りする曲面を持つアートが三つ並べられていて、窓から入る光もろとも部屋の風景をゆがめて映しこんでいた。
大きな窓から差し込む光が本当にやさしくて、これは曇っていたからなのかもしれないが、窓辺にずっと座って本を読んでいたら本当に幸せだろうと思う。
大きな窓と観葉植物の組み合わせはどうやっても気持ちが良くなる。西沢立衛にしても、ラカトンのmulhouseにしても、このアアルトにしても、それをせこいという人もいるけど、気持ちいいのだから、しょうがない。でも、ラカトンにしても西沢立衛にしても、住みやすいのかといわれるとそうではなさそうで、アアルトのカレ邸も雨が暖炉に入ってきて大変だといっていたけど、北欧だからこそ出来る大きな窓なのかもしれないとは感じた。その点ではmulhouseもスイスに近くて冬は寒い。だからこそ、あのビニールハウスで冬を越せるのか心配だけど、冬が厳しい分、光に対する欲求が強いんじゃないかな。
それはフランスでも感じることで、最近は春になって、日曜の午後にでも晴れようものなら、こぞって公園に繰り出し、サンドイッチを食べ、子供とボール遊びをしている家族連れが公園を埋め尽くしている。本当に幸せそうな姿。大人も子供もこの春の日差しをいっぱいに浴びて、この世の楽園のような気さえするんだ。中国の公園が夜中に人であふれているのとは対極的で、逆にこっちの公園は夜になると門に鍵がかかって入れなくなる。あれ、中国でもそうかな。
 家が南向きであることにはそれほどこだわらないのに、だからこそ?、公園に出て、みんなの場所で春の日差しを楽しむのがパリジャンの過ごし方なんじゃないかな。

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